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ミケちゃん その4
ミケちゃんを迎え入れる前に、ミケちゃんがひとりになれる部屋を用意した。わたしの仕事部屋だ。
最近は仕事道具をリビングに運び、ベランダの花や小鳥レストランに来る小鳥たちを眺めながら描くことがほとんどなので、その部屋は本や画材、描いた絵の置き場として使われており、ほぼ物置きになっている。
ミケちゃんが落ち着いて過ごせるように、ベッドやタオル、猫用トイレ、爪とぎ…など準備しておいた。
全てがミケちゃんにとっては初めて見るものなのだろうな…と思いながら。




来てすぐには乗ろうとしなかったベッド。
3日目の夕方、座ってウトウトしているところを見た。
『何かしら、これ…』と乗ってみたら、フカフカして気持ちよかったのかもしれない。
ミケちゃんにとっては初めてのベッド。13年近く地面や屋根、車のボンネットの上が寝る場所だったのだものね。
それを考えながらこの様子を見たら、ちょっと泣きそうになった。





家に入り5日目。
寝そべったまま食べるとは、ずいぶん安心している。やはり大物。
外ではいつもまわりを警戒しながらいつでも逃げられるように腰上げたまま食べていた。
もう大丈夫、ここは安全な場所。

またしても泣きそうになる。




ミケちゃんが安心して寝ている様子を見たり、部屋の中でわたしにブラッシングされながら鳴らすノドのゴロゴロを聞いていると、12年外で接してきたいろんな思い出がよみがえり、今の光景にぐっときてしまう瞬間が何度もある。

数年前、ミケちゃんが半月以上来ないときがあり、毎日近所を探し回ったこともある。結局、いつもごはんを食べる駐車場から30メートルくらい離れた場所で見つけたが、ひどい風邪(たぶんウィルス性鼻気管炎)にかかり、鼻がグシュグシュで食べ物の匂いも嗅げない様子だった。具合が悪くてしばらく身を隠しじっとしていたのだと思う。他のネコに会わない安全な場所にいたのだろう。
しばらくはそこにごはんを運び、ミケちゃんはやがて元気になった。
そんなこともあったなあと思い出したりした。
変な例えだが、12年越しの禁断の恋が実ったような、そんな気持ちである。


その一方で、ミケちゃんと会っていた駐車場を見たり通るときに、『あれ、ミケちゃんがいない』と思ってしまう。家にいるのだから当たり前なのだけど。
その感覚がなくなるまでには、半月以上がかかった。12年間以上の習慣だったのだから、仕方がない。




(マンション敷地内から見た駐車場。ミケちゃんと会っていた場所。)


さて、話は部屋のことに戻って。。。。
ドアの外側には、前もって購入したペットゲートを設置。高さも結構あるので、猫も飛び越えない…と商品説明に書いてあった。
いきなり3ニャンに会わせるのはどちらにとってもストレスだろうし、ミケちゃんを病院に連れて行き、猫白血病と猫エイズの検査を受けるまでは3ニャンに接触させるわけにはいかない。
ニヤを保護したときや、チャイとコビーを譲り受けたときは、子猫だったのでケージにしばらく入ってもらったが、13年近く外で暮らしていた立派な熟女をケージに閉じ込めるのはあまりにもかわいそうだ。
それで個室にゲート。VIP待遇だ。

ミケちゃんが来て2日間はドアも閉め、3日目から昼間はドアを開けてゲート越しに3ニャンと対面できるようにした。




みんな気になってしかたない。

『このおばちゃん、ここに住むのかなあ』
『なんだか強そうだぜ』
『ルルさんよりはこわくなさそうだけどね』
3ニャンの間ではこんな会話がなされていたのだろうか。
ミケちゃんはきっと、『なんだかうるさいのが3匹もいるわ。ま、みんな大したことなさそうだけどね』などと思っていたに違いない。




(近づき過ぎてシャーッと威嚇されたチャイ)


ミケちゃんを迎える準備は完璧!と思っていたが、落ち度があった。ゲートの1箇所、棒と棒の間隔が少し広めの場所がある。でも猫は通れないだろ…と高をくくっていたら…





やってくれました、ニヤ。
入りたい気持ちを抑えきれず、頭突っ込んだけど肩甲骨でつかえ、身動きが取れなくなった。アホだな〜。
(写真撮ってすぐ救出しました)


こうしてネコ同士はお互いの存在を気にしながら、ニンゲンのわたしはミケちゃんを観察しながら毎日を過ごした。
ミケちゃんはやはり、外にいる時から気になっていた涙と目ヤニがひどいまま。鼻もつまりぎみで、ごはんを食べた後涙がたくさん出ている。そして、寝起きやなんでもない普段、食べている最中に「アォーッ」という謎の雄叫びをあげる。
不安なの?外に帰りたいの?
猫語の通訳がいて欲しいとこれほど思ったことはない。


その謎をかかえて1週間が経った。


(つづく)


 
| ミケちゃんが家族になるまで | 21:05 | - | - | pookmark |