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フジコ・ヘミングを聴く
昨夜、東京オペラシティ・コンサートホールへ。
イングリット・フジコ・ヘミング&アンサンブル・ベルリンの演奏を聴きに行った。



わたしは、クラシックにはまったく詳しくなく、家でクラシックのCDやレコードを聴いているわけでもない。
ただ、フジコ・ヘミングがテレビ出演し、何曲か演奏しているのを何度か聴いた事があるだけだった。そのとき、なぜだかボロボロと涙がこぼれ落ち、ものすごく心が動かされた。
それ以来、一度は聴いてみたいと思っていて、今回チケットをとり、楽しみに待っていた。
そのうち・・と思っていると、実現出来なくなることだってあるので(例えば、フジコ・ヘミングが活動を中止するなど)、思い立ったら即行動・・・であった。

ホールで席に着き、まわりを見渡すと、年配のご夫婦や、女性同士が多い。
着物を着た年配の女性も何人かいた。
大人になってからクラシックのコンサートに行くのは初めてだったので、その雰囲気にもちょっとドキドキだった。
プログラムを見ると、休憩をはさんで第1部と2部がある。
そして、〜イングリット・フジコ・ヘミング&アンサンブル・ベルリンによる〜と書かれているのはたった1曲(第1楽章〜第3楽章)。他の曲目はアンサンブル・ベルリンによる演奏。
そうか、そうなのか・・・とビックリ&がっかりしたのは、間違いだったと後で気づくことになる。
イングリット・フジコ・ヘミング&アンサンブル・ベルリンによる演奏が始まり、フジコ・ヘミングのピアノの音が響いた直後、不思議な体験をする。
感動ということばはピッタリではない感情とともに、自然と涙があふれてきて止まらなくなった。ポタポタと、ひざの上に置いたプログラムの上に涙が落ちたので、自分でもどうしたことかと驚いた。
そして、演奏後、鳴り響く拍手の中、アンコールに応え、フジコ・ヘミングのピアノ・ソロ数曲が演奏された。
フジコ・ヘミング自ら曲目を述べたのだが、クラシックに無知なわたしにもわかったのは、最後の曲『ラ・カンパネラ』。
この曲はテレビでも演奏を聴いたことがあった。
ピアノ・ソロで演奏されたものは短調のものが多く、激しい感情がこめられた音であるように感じた。やはり、『ラ・カンパネラ』が最高に心を揺り動かした。
そして、またさらに涙があふれ続けるという、大変な時間となった。
ピアノ・ソロのこれだけの曲目を聴いただけで、もう胸がいっぱいになり、それ以上聴いていたら、苦しくなるんじゃないかという想いだった。
フジコ・ヘミング初体験のわたしにとっては、このプログラムがちょうどおなかいっぱいになる、内容だったのである。

この人のピアノの音は、どうしてこんなにも心を動かし、涙が出るんだろうと、聴きながら少し考えた。
ちょうど前日の夜、知人たちと食事をしているときに、わたしが「教会に足を踏み入れると、不思議にその空気だけでボロボロと涙がでるのはなんでだろう」と話すと、
「神聖なものに触れると涙がでるときがあるわよね」とおっしゃった方がいた。
そのことばを思い出し、フジコ・ヘミングの音と存在そのものが神聖な空気に包まれているんだろうか・・と思ったりもした。
そして、この人のピアノの音を聴いて、どんな情景が思い浮かぶかな・・・と、目を瞑って聴いてみた。
暗い森の中に、木々の葉の隙間からやわらかい優しい光が射し込む情景が浮かんだ。
きっと、この人が歩んできた壮絶な人生の中で、この音が生まれるんだろうなあと思った。
テクニックや最初からある才能だけではなく、人生そのものなんだろうなあ。


この音を聴けて、ほんとうによかった。
演奏後の鳴り止まぬ拍手に、頭を下げるフジコ・ヘミングを見ながら、
「ありがとうございましたと頭をさげるのは、こちらですよ」と言いたかった。




画家である父親の才能も受け継いだのだろうか、絵も抜群にすばらしい。
どの絵にも、ほとんどネコがいる。


| 音楽 | 13:50 | - | - | pookmark |