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石川県立中央病院 小児科アートワーク 7  あとがき

以上、石川県立中央病院 小児科アートワークについて長々と投稿させていただきました。

 

1回目の投稿から、カテゴリー「石川県立中央病院 小児科アートワーク」で全てが読めますので、ご興味を持っていただいた方はご覧ください。

 

 

いろんなことが起こり、大変でしたが、この仕事に関わることができたことに感謝しています。

 

迷ったり、難しかったのは、絵本や挿絵の仕事とは違い、『気に入った人が選んで買う』ための絵ではなく、選ぶことができずにその病院では絵を見ること、絵が描かれた病室に入院するということでした。

その場所を利用する子が『いやだー』『こわいー』というマイナスの感情を持ってしまっては困るということです。

かといって、万人に受けるようなものを意識するのは違うしできないこと、キャラクターグッズのような可愛さのものにはしたくない、そんないろんな気持ちが交錯しました。

 

そういうことを全て消化できたのか、私にその力があったのか、本当のところ自信はありません。

全てが初めてのことで、自分を信じて進むしかなかった。

 

経験の少なさ、力の足りないことを思いました。

もっともっと、力をつけたいと思いました。

 

 

その上で、もしまたこのような病気の子どもたちのためにできる仕事があれば、ぜひやりたいと思っています。

もちろん、そんな依頼があったらの話ですが。

 

そして、自分が5年前に大病をしたことで、病気を持つ人の気持ちを知れたことをこういう形で生かすことができたこと、幸せに思います。

やはり、自分の身に起こることには全て意味があるのかもしれません。

 

 

長々と読んで見てくださった方々、ありがとうございました。

 

 

 

| 石川県立中央病院 小児科アートワーク | 23:12 | - | - | pookmark |
石川県立中央病院 小児科アートワーク 6(入院病棟 2)

引き続き、小児科入院病棟のアートワーク。

 

部屋ごとに違う動物の絵を入れたいという要望が県からありましたが、1度目のラフスケッチ提出後、壁紙印刷が出来なくなったことと同様、ドア全体に印刷したフィルムを貼りこむことはできないことになりました。

何か修繕などする必要が出た場合に、その絵の部分だけ取り外し可能な方法をとりたいと言われました。

かといって、絵を印刷したシールのようなものを貼るつけるのは、剥がれる不安があること、せっかく最初からの建設に伴ったものなのに後付け対応のように見えるのはもったいないと思う、、、そういう理由からずっと私は賛成をできずにいました。

 

そんな状況のところに、もともと私を抜擢してくれた方(高校の同級生だったMくん)がとてもいい提案をしてくださったのです。

(Mくんは私を推薦してくれた後、人事異動で担当ではなくなったのですが、特別に打ち合わせに参加してくれました)

 

各病室のドアには、上部に丸窓がつく設計になっていました。

室内を大人(看護師など)が見ることができるように。

それと同じ大きさの丸窓を、ドアの下部にも作り、そこから動物たちがのぞいているようにしてはどうだろう、という素晴らしいアイデアです。

建築のことをわかっている方だからこそのアイデアです。

そのアイデアに救われました。

そこからは私の中で楽しいアイデアがどんどん広がっていきました。

 

県からの条件は、1階外来の時と同様、いしかわ動物園の動物、のとじま水族館にいる魚や動物を必ず入れて欲しいということ。

私からの要望で、それ以外にも小さな子どもに親しみやすい身近な動物も入れるようにしました。

 

病院側からの要望で、丸窓は透明ではなく半透明で中がはっきり見えないようにして欲しいということも条件としてありました。

 

その後、関係者で色々話し合い、廊下側から動物の正面(顔)が見えたら室内からは後ろ姿が見えたら面白いね、、、というアイデアも出ました。

 

まず、水族館にいるイキモノがのぞいている3部屋。

 

 

ジンベイザメ。

ここは4人部屋なので、大きなイキモノを選びました。

 

 

 

室内から見たところ。

 

 

 

 

 

アザラシ。

 

 

室内から。

 

 

 

ペンギン。

 

 

室内から。

 

 

この丸窓には、3枚のアクリル板が入っています。

透明アクリル板に絵を印刷した透明フィルムを貼ったものが廊下側と室内に1枚ずつ。

その間に、模様(2パターン)を指定した色(それぞれ違う色)で半透明印刷したフィルムをアクリル板の裏と表に貼って透けた時に綺麗に見えるようにしたもの。

なので、光の加減によっても、地色は違って見えます。

時間によって、色は違うように見えるはず。

 

 

次は、身近な動物たち。

自分の家や近所で見たことがある犬や猫、絵本にもよく登場する動物などです。

 

 

 

リス。

 

 

室内から。

 

 

 

ネコ。

2匹とも正面を向いていると、室内からは後ろ姿しか見えず、もしも病室からずっと出られないような病状の子だったらずっと後ろ姿ばかり見ていることになり悲しいだろうなあと、正面向きと後ろ向きのネコを1匹ずつにしました。

今後出てくる正面を向いた動物たちも同様です。

 

 

室内から。

 

 

 

 

イヌ。

 

 

室内から。

 

 

 

ヒツジ。

 

 

室内から。

 

 

 

ウサギ。

 

 

室内から。

 

 

 

 

 

クマ。

 

 

 

室内から。

 

これらの動物たちは、間に入っているアクリル板の模様は、草の模様。

 

 

この後は、いしかわ動物園にいる動物を中心に。

 

 

 

 

キリン。

4人部屋です。

なので大きな動物にしました。

 

 

 

室内から。

 

 

 

ゾウ。

ここも4人部屋。

 

 

室内から。

 

 

 

ライオン。

 

 

室内から。

 

 

 

シマウマ。

 

 

室内から。

 

 

 

シロフクロウ。

 

 

室内から。

室内から見える子は四つ葉のクローバーをくわえてます。

 

 

 

シロテナガザル。

 

 

室内から。

ちびっこが微笑んでます。

 

 

 

レッサーパンダ。

正面向いた子しかいませんね、、、

 

 

いたいた、

お母さんの後ろにちびっこが隠れてました。

 

 

 

カンガルー。

 

 

室内から。

 

 

 

カピバラ。

 

 

室内から。

 

 

 

リクガメ。

親亀の背中に子亀。

 

 

室内から。

 

ここまでは、間に入っているアクリル板の模様は、身近な動物たちの部屋とは違う草の模様。

 

 

病室は以上19室。

 

次の写真は、師長室の丸窓です。

石川県のキャラクター、ひゃくまんさん。

 

 

 

 

室内です。

 

 

以上、入院病棟・病室のアートワークです。

 

 

*病棟内を撮った動画が下記アドレス(Instagram)で見られます。

 

https://instagram.com/p/BdZIHx6A5kH/

 

https://instagram.com/p/BdZGK1qgz91/

 

 

 

 

 

| 石川県立中央病院 小児科アートワーク | 22:52 | - | - | pookmark |
石川県立中央病院 小児科アートワーク 5(入院病棟 1)

前回までは1階にある小児科外来のアートワークをご紹介しましたが、ここからは4階・入院病棟のアートワークになります。

 

病棟の入り口には、自動ドアがあり、そのガラス面の表側と裏側から草と小鳥たちの絵をシルエットで描いたものを白の濃淡(パーセンテージ指定)で印刷したフィルムを貼ってもらいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

このドアが開いて中に入ると、その先に病室19室がありますが、まずはそこに入院した子どもたちの親御さんやその他のご家族がお見舞い、お世話に通うたびに通る廊下があります。

 

 

 

 

廊下全体の画像です。

花を中心に、小鳥、ウサギ、蝶々、雲、アヒルの絵を印刷したアクリル板のレリーフを施工していただいてます。

真ん中あたりの壁に見える木の枠は、掲示板。

病院がいろんなお知らせなど貼れるようになっています。

 

手前から、

 

 

 

小鳥たちは、お花畑で花を摘み、くちばしにくわえて病室へ向かいます。

 

透明アクリル板に印刷した透明フィルムを貼っています。

花の部分は、二枚の絵を表と裏から貼って、重なりや奥行きが面白く見えるようになっています。

 

 

 

 

白い鳩は、四葉のクローバーをくわえていますよ。

 

ウサギさんは、友達のウサギのお見舞いに行くようです。

手に花を持っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

廊下のつきあたりです。

アヒルとその子どもたち。

 

この左に3室、右に16室の病室があります。

 

右に曲がったすぐの場所にデイルームがあります。

お見舞いに来たご家族と入院中の子どもがおしゃべりしたり飲食できる場所。

この天井に、大きなおひさまと雲、小鳥たちの絵を印刷した壁紙を貼っていただきました。

 

 

 

 

 

 

この病院がある金沢は、太平洋側に比べて晴れの日が少ない土地です。

とくに冬は、曇り空、雨、雪が続きます。

この先の廊下に天窓もあるのですが、青空とおひさまは見えない日が多いように思います。

病気で辛いこともある時に、青空やおひさまを見ると元気が出ると、私は5年前の闘病で実感したので、入院中の子どもたちやご家族が少しでもおひさまの絵の下で元気が出たらいいなあと願って、こういう絵を描きました。

 

その天窓のある場所です。

最初は何も絵がない白い壁のままでしたが、レリーフの小鳥や雲を見た業者さん、設計会社の方々が、ここにも絵があった方がいいのではないかと提案してくださり、印刷したシートを貼ってくださいました。

 

 

 

 

 

 

では、絵が施された病室のドアについては、次にご紹介させていただきます。

 

 

 

 

| 石川県立中央病院 小児科アートワーク | 18:49 | - | - | pookmark |
石川県立中央病院 小児科アートワーク 4(外来・診察室横サイン)

前回に続き、小児科外来のアートワークです。

 

待合壁の正面には小児内科・外科の診察室(処置室含む)が9室あります。

各ドアの横にはそれぞれサイン(案内板)が設置されており、部屋番号、担当医師などの表示があります。

その案内板の下部にも、私の絵を入れたいと依頼されました。

条件として、いしかわ動物園にいる動物、のとじま水族館にいる魚、白山市の昆虫館にいる昆虫を必ず入れて描いて欲しいというものがありました。

 

”クマさんの部屋” ”うさぎさんの部屋” というふうに、1匹ずつ違う動物や魚を描くだけではなく、1番の部屋には1匹、2番の部屋には2匹、、、というのがおもしろいのではと提案をしました。

数を数える絵本があるように、数えることを覚えた小さな子は、9匹までなら数えられると思います。

まだ数えられない子も、親御さんと一緒に待ち時間に数えて会話が弾みます。

退屈で不安な待ち時間に、ドア横の絵にそんな遊びがあるともしも気づいてくれたら、その時間も少しは楽しくなるかなと考えました。

 

そして、その絵の中にも、小さく部屋番号の数字が絵の一部として入っていたら、数字を読める子は、見つけてうれしくなるかもしれません。

 

 

 

 

手前から1番の部屋です。

 

*サイン(案内板)上部の青色は、病院全体で方角により統一した色を使用されていてこれは「藍」。

「加賀五彩」(臙脂、藍、黄土、草、古代紫)が使われています。

 

 

 

 

 

では1番からご紹介。

 

 

 

 

1番。

ゾウが1頭。

鼻の先にのっけたリンゴには数字の1。

(リンゴの皮を1の形で削ったつもり)

 

 

 

2番。

クマが2頭(親子)。

ハチミツが入った壺には数字の2。

(ハチミツで2と描かれているつもり)

 

 

 

3番。

レッサーパンダが3匹。(親子)

真ん中の子どもがくわえた葉っぱには数字の3の穴が空いています。

 

 

 

4番。

ペンギンが4羽。

右下の赤ちゃんが乗った石に4の模様。

 

 

 

5番。

ウサギが5羽。

左下のお母さんウサギが持っているニンジンに5の形の虫食いがあります。

 

 

 

6番。

リスザルが6匹。

一番上で親の背中に乗った子が手に持った葉っぱには、6の形の穴。

 

 

 

7番。

いろいろな昆虫が7匹。

左下にいるカミキリムシ(ルリボシカミキリ)が葉っぱを7の形にかじりました。

 

 

 

8番。

いろいろな魚が8匹。

コンゴウフグが口から8の形の泡を出してくれました。

 

 

 

9番。

この部屋(緊急時、感染症対応の部屋)に限り、「9番はカバにして欲しい」という病院からの要望がありました。

現在の県立中央病院でもこの部屋はカバのマークがあるそうで、継続したいとのこと。

 

コビトカバ2匹と小鳥たち7羽、合わせて9。

飛んでいる小鳥がくわえた草が9の字になっています。

 

 

 

次は、4階の小児病棟(入院病棟)のアートワークをご紹介させていただきます。

 

 

 

| 石川県立中央病院 小児科アートワーク | 16:00 | - | - | pookmark |
石川県立中央病院 小児科アートワーク 3(外来・待合 その2)

前回に引き続き、小児科外来アートワークのお話です。

 

外来の待合の壁中央に設置することになった巨大紙芝居・木舞台には、四季によって違う絵(印刷したパネル)が入ります。

同じ場所での季節の移り変わり、遊んでいる子どもたち、生き物たちを描くことにしました。

 

その中で、決めたこと。

・必ずどの絵でも、正面を向いて微笑んでいる子を一人描く。その子は手に花を持つ。

 その子が、その絵を見る子(人)と目が合うように描く。

 不安や恐怖を抱えた子や親御さんに、「大丈夫だよ」というメッセージが伝わればいいなと思いました。

・石川県に実際に生息する生き物を描く。

・石川県の四季を描く。

・大きな絵だけれど、プレイコーナーで遊ぶ子どもたちが間近で見た時発見して嬉しくなるような部分も入れる。

 

 

 

これは、夏の絵の一部。

ヒマワリを持った少年がこちらに微笑みかけます。

後ろの方に小さく描かれているのは、カモシカ。

我が家から少し山よりに行った場所でも会うことができます。

残念ながら私はまだ会ったことがない。。。

 

 

 

これは、春の絵と冬の絵の池の部分の比較。

冬は凍った池でリスがスケートをしています。

春は、子どもが生まれたカモが泳いでいますね。

 

池だけでなく、各場所で、四季の変化が楽しめます。

でも、それは1年を通して通院する子どもたちや親御さんにしかわかりません。

いつも通院しなければならない子たちだけへの、ご褒美。

 

それから、これは友人が言ってくれた言葉です。

病気を抱えた子どもを持った親御さんが、季節の移ろいにも気づかないかもしれないような気持ちの時も、ここで季節が変わったことに気づいてくれたらいいね、と。

本当に、そう願います。

 

 

老眼の限界までがんばって描いたところ。

ちびっ子たち、気づいてくれたらうれしいな。

こういう箇所が季節ごとにあります。

 

 

さて、では外来・待合の完成したところを載せましょう。

 

 

 

廊下から小児科外来に入る前、受付から見た中です。

『ここは、病院??』

きっとそう思うことでしょう。

 

中に入ります。

 

 

 

 

待合壁、左部分。

 

 

 

丸天井画があります。これは左部分の天井。

県からの依頼内容に”朱鷺(鳥のトキ)を描いて欲しい”がありました。

いしかわ動物園で、トキの繁殖に力を入れているのです。

初めて描きました、トキ。

他の小鳥たちも飛んでいます。

 

風船の気球に乗っているのは、子どもたちと、石川県のキャクター・ひゃくまんさん。

ひゃくまんさんもどこかに描くように依頼がありました。

 

 

中央。

プレイコーナー壁に設置された木舞台。

これは秋の絵。

 

 

その前の天井には雲だけが浮かんだ空。

 

 

向かって右側部の壁。

 

 

その天井にもトキと小鳥たちが飛んでいます。

 

右の天井、左の天井に飛ぶ小鳥たちは、中央パネルの絵が四季によって変わってもおかしくないように、留鳥(四季を通して日本にいる鳥)をモデルにしました。

パネルに出てくる鳥たちも、それぞれの季節に合うように、夏鳥、冬鳥、留鳥を意識してモデルとしました。

こんなこと、多分ほとんどの人は気づかないと思いますが。

 

今、四季の自然と鳥たちを身近に感じて生活している私には、そこは大切なこだわりでした。

子どもたちにも間違ったことは絵として見せられない、そんなこだわりでしょうか。

(ただの鳥好きのこだわりかもしれない)

 

巨大紙芝居、四季の絵の変化です。

 

 

 

春。

コナラ、ナツツバキ、ヤマボウシ、奥にヤブツバキ。

地面には春の野の花が咲きます。

動物たちは恋の季節、子が生まれる季節。

ヒヨドリは巣を作る場所を見つけたようです。

子どもたちは動物たちと一緒に花を摘んだり、かくれんぼをして遊んでいます。

 

 

 

夏。

虫取り網を持った女の子、池で動物たちと水遊びする男の子。

コナラの木には、クワガタとカブトムシもいますよ。

ヒヨドリは、巣立ったばかりのヒナと一緒にいます。

 

 

 

 

秋。

(すみません、これだけレリーフ設置前の撮影)

木々が色づき、コナラにはドングリがなっています。リスはそれを採っています。

クマの親子は冬に備えて、いろんな木の実を集めたようです。

男の子は動物たちと楽器の演奏をしていますよ。

 

 

 

 

冬。

雪が降り積もりました。

冬鳥が空を飛んだり、地面をつついています。

クマは冬眠をしたようです、ここにはいません。

ホンドリスは冬眠をしないので、遊んでいます。

子どもたちも、雪でカマクラを作ったり、そり遊びをしていますよ。

 

 

今回はここまで。

次回は、この待合の向かいにある診察室のサインに入れた絵をご紹介しようと思います。

 

 

 

 

| 石川県立中央病院 小児科アートワーク | 20:13 | - | - | pookmark |
石川県立中央病院 小児科アートワーク 2(外来・待合  その1)

石川県立中央病院1階に小児科外来(小児内科、小児外科)があります。

その待合の壁と天井、診察室横のサイン部のアートワークを担当しました。

 

前回の記事「石川県立中央病院 小児科アートワーク 1(前書き)」に書きましたように、進行中に壁紙印刷が不可能になり、課題が与えられました。

 

・四季によって絵が変わった方がいい。

・壁もドアも、アートワークは取り外し可能な施工方法をとりたい。

 

まずは、待合の壁。

さて、これをどういう形にするか。

 

設計会社の方が、壁面にパネルを差し替えることができるフレームのようなものを設置し、四季によりパネル(絵を印刷したもの)を変えてはどうかと提案くださいました。

でも、それでは普通の病院に絵を飾っているのとあまり変わらないので、もっとおもしろく、楽しいものにできないかなあと提案したのがこれです。

 

 

 

待合の中心には、子どもたちが靴を脱いで上がり、遊んだり本を読めるプレイコーナーが設置される設計になっていたので、その部分の壁に巨大紙芝居の舞台を作ってはどうかという提案です。

その中に、四季ごとに絵が違うパネルを差し替える、そういうもの。年に4回絵が変わる紙芝居です。

その舞台の左右の壁には、木々のシルエット、リスが木に登り、鳥たちは木にとまったり、紙芝居舞台に向かって飛んでいます。

舞台に到着し、屋根にとまって絵をのぞき込んでいる鳥もいます。

 

木々のシルエットはカッティングシート、鳥やリスはアクリル板を使ったレリーフを提案。

レリーフは、透明アクリル板に印刷をするのか、直接ペイントするのか、そのあたりのことを業者さんを交えて打ち合わせしながら決めていき、直接ペイントすることに。

 

 

 

 

実際に使う壁紙をいただき、仕事部屋の壁に貼ってシミュレーションしていました。(今もまだ貼ったまま)

そこにカッティングシートの色を決めるためにプリントアウトしたものを枝の形に切って貼り、色指定するチップを選んだり、

レリーフのつもりで描いたものを貼ってみたり。

こういう作業にかけた時間がとても多かったです。

未経験のことということもあり、頭の中だけでは決めることができなかった。

サイズ感も、図面だけではわかりません。

 

 

 

レリーフの形状を小さく絵に描いたもの。

拡大率を指定し、アクリル板を切ってくださる業者さんに。

 

 

 

カッティングシートを切っていただくための絵。(縮小)

そこに、リスや鳥のシルエットの絵(上の写真)をコピーしたものを乗せてみて、仕上がりをイメージ。

 

 

 

透明アクリル板に着色しているところ。

まず下地として白い絵の具を。

初めての体験。

 

 

 

 

レリーフ完成。

 

そして、中央の舞台は木で作ることになりました。

私のラフスケッチをもとに設計会社の方が図面を起こしてくださり、大工さんが作ってくださいました。

まわりの部分は、指定した色の絵の具で塗っていただき、カーテン部は私がペイントしました。

私のわがままで、自宅でペイントできるよう運んでいただきました。

 

 

これもまた初めてのこと。

初めてのことばかりで、毎日ドキドキ緊張していました。

でも楽しかった!

できないことはないものです。

 

カッティングシートと木舞台が設置された状況がこれです。

 

 

 

木舞台は巨大で、中に入れるパネルは、横180センチ。

 

そのパネルの絵は、同じ場所の四季を描くことにしました。

そこは動物園にいる動物ではなく、石川県内の自然の中で出会える生き物と子どもたちの絵にしようと。

そして、四季は、石川県の四季です。冬には雪が積もります。

 

 

長くなってしまうので、パネルの絵を描くところからは、次の記事に。

次は、外来待合の壁が完成、天井にも絵が入るところまでを書こうと思います。

 

 

 

 

| 石川県立中央病院 小児科アートワーク | 21:00 | - | - | pookmark |
石川県立中央病院 小児科アートワーク 1(前書き)

何度かブログ文中に書いていました、病院の仕事。ホスピタルアート。

いま私が住む金沢市にある石川県立中央病院のお仕事をしました。

 

このお仕事が私に依頼された流れも、不思議なご縁を感じるものでした。

数年前から、県庁内の「県立中央病院建設推進室」の方々が建て替えについて進めていた中で、小児科にアートを・・・という案が出ていたようですが、その頃は私はまだ神奈川県に住んでおり、そのことは知りませんでした。

そして、金沢にUターン移住する予定さえなかったのです。

ところが、2015年頭に母が亡くなり、空き家になった実家をどうしようか、、、というところからの急展開。

そして、2016年の2月末に引越してきて間もなく、推進室のMさんから連絡があったのです。

 

Mさんとは、高校が同じでしたが、同じクラスになったことがないため、お名前を知っていたくらいで、話したことはなかったのですが、Facebookで何年か前から繋がっていました。

 

県としては、石川県在住で小児科のアートワーク(絵、デザイン)を担当できる人を探していたということで、金沢美大卒業の絵本作家である私のことはいいなと思ってくださっていたようですが、残念ながら神奈川県在住ということで諦めていたとお話を聞きました。

ところが、ものすごくいいタイミングで私が引っ越してきたわけです。

 

このお仕事をするために、金沢に呼ばれたのか?と思うようなタイミングでした。

亡くなった母が、私をこのために金沢に来させたのではないかと、そんなことも思いました。

 

私も2012年に半年以上の闘病(3週間に1回の通院と投薬、検査、手術)をした時に、病院の中が心安らぐ場所である大切さを身を持って知りました。

私が通院していた病院(聖マリアンナ医科大学附属クリニック ブレストセンター)内には、岩合光昭さんの写真やダウン症、自閉症の方々が描いた素晴らしい作品、優しい色のタペストリーがたくさん飾ってあり、私はいつも元気をもらっていました。

そういう病院の中にいると、とてもほっとしたのです。

病院へ行くのが辛いと思ったことがほとんどありませんでした。

だから、絶対にホスピタルアートは必要!と思っていたのです。

 

そして、病気になった本人以上に、見守り、時には一緒に病院に付き添う家族は、本人と同じくらい、もしかしたら本人以上に不安や心配な気持ちをいつも抱えていると、闘病中に感じました。

小児科は、子供が病気で通院・入院するとき必ず付き添うであろうご家族の心も安らぐ場所でなくてはいけないと、思っていました。

 

そのために、私にできることがあるのなら、ぜひやりたいと思い、このお仕事を受けた次第です。

それが、2016年3月のことでした。

 

 

当初は小児外来、病棟のどちらも、私が普段仕事で描いているように紙に原画を描いたものを壁紙印刷する予定で進行しました。

ここに絵を入れたい、という部分(広範囲でした)の図面を手渡されました。

 

 

 

 

そして、設計会社の方々、建設会社の方々、壁紙印刷をする方々、、、関わる皆さんと何度にも渡る打ち合わせをし、全体のラフスケッチを提出したのは、2016年秋でした。

壁面、ドア表面の絵にはストーリーを感じさせるものを描きました。

 

 

 

その時のプレゼンに提出した、色付きラフの一部。

懐かしいなあ。

 

 

それに対してのお返事をいただき、2017年3月ごろには原画を全てアップする、そういう予定だったのですが、人生うまくいかないものです。

ここで大きな試練が私に与えられました。

 

諸事情により、壁紙印刷は出来なくなったと、年明けに県からお返事がきたのです。

振り出しに戻りました。

 

・四季によって絵が変わった方がいい。

・壁もドアも、アートワークは取り外し可能な施工方法をとりたい。

・いしかわ動物園にいる動物、のとじま水族館にいる魚や動物、白山 昆虫博物館にいる昆虫、これらをメインに描いて欲しい。

 

そのような課題が与えられました。

 

振り出しに戻って考え始めたのが、3月。

病院の完成時期は変わりませんから、それはそれは過酷な日々が始まりました。

 

アクリル板を使ったレリーフを立案し、そういうアートを小児科に施工している福岡の病院に視察にも行きました。

ひびのこづえさんのアートワークです。でもはるばる行ってよかった!

 

結局、レリーフ以外にも、私にとっては、初めてのことばかりの仕事となりました。

 

でも、完成した今、振り出しに戻ったアクシデントがあったおかげで、おもしろいものになったのではないかなと思っています。

与えられた条件の中で、どれだけおもしろいもの、子供たちが喜んでくれ、親御さんたちの心が安らぐものができるか、その課題をクリアするよう頑張ったことは、自分にとってもとても勉強になりました。

 

ここでは詳しく書けないような、いろんなことがありました。

悔しくて泣いたことも、先方に激怒したことも、怒りすぎて体調を崩したこともありました。

でも、「終わりよければすべてよし」。

 

この言葉で、前書きは締めくくろうと思います。

 

次は、実際に施工した写真を載せながら、小児外来、小児病棟のことを書いていきます。

 

 

 

 

| 石川県立中央病院 小児科アートワーク | 20:07 | - | - | pookmark |
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